相続人が認知症になってしまったとき相続登記はできるのか?

相続登記・・・ついつい後回しになってしまいますよね

相続登記しなくても電気や水道の請求も来ますし特別生活に支障がありません。
ついつい後回しになってしまいます。
しかし時間が経てば経つほど手間や費用が増えてしまいます。

娘さんから寄せられたご相談を元に考えていきます。

 父親は8年前に他界しています。その時に遺産分割協議書を作成しておらず、相続登記(土地及び建物の所有権の移転)もしていません。遺言書もありませんでした。

 娘さんは結婚され、遠方に住んでいます。

 母親は現在、認知症で娘さんの近くの施設に入居されています。


娘さんは、実家には草刈りなどで帰る程度で、現実には細やかな管理が難しく、この際、父親名義の土地及び建物を売却したいと考えています。

この場合、娘さんは父親名義の不動産を売却できるでしょうか?

すぐには売却できません

まずは、父親名義の不動産を娘の名義にすることが必要となります。
そのために相続登記が必要です。

本件不動産の相続人は母親と娘の2人です。
持ち分も 1/2 ずつです。

本来、話し合いで遺産分割し目録を作成することもできるわけですが、今回はお母さんが認知症を発症していますので意思能力がないと判断され遺産分割ができません。

その結果、相続登記も行うことができません。
よって売却もできないことになります。

  

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弁護士からの回答

どうすれば良いのでしょうか?
これ以上のことは専門職に聞いたほうが良いだろうと思い、弁護士に解決手段を聞きました。

 本件不動産を売却するには、母親について成年後見人の選任を行います。娘がなることも不可能ではありませんが、今回は母親と娘で本件不動産に関して利益が相反するので、後見監督人の弁護士が併せて選任されます。この後見監督人には報酬が発生します。
 その後、母親と後見監督人の弁護士が協議して、相続登記ができます。
 なお、売却の協議も可能です。ただし、本件不動産が母親の居住用財産でなければ家庭裁判所の許可は原則として不要ですが、居住用財産であれば裁判所の許可が必要です。

ということでした。(一例としての参考まで)

母親と娘の2人だけの相続でもなんだか複雑になってしまいました。

成年後見人や後見監督人が必要になり
その費用も必要になり
場合によっては家庭裁判所の許可も必要になるようですね。

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相続が発生した時に解決が基本

相続が発生した時というのは通常、身近な人が亡くなるわけですから、そんなこと考えられないとなってしまうのもわかります。
ただ一方で、人が死ぬと様々な書類や手続きが必要となり、引きこもって悲しみに暮れるということが意外とできません。
手続きに奔走しているうちに、遺族の悲しみが忙しさで紛れて和らぐものだとも聞いたことがあります。

今回は相続人が2人だけでしたが・・・
例えば娘さんにご兄弟が3人いて、そのうち1人が失踪、1人が子供を残して亡くなっているなどとなれば、さらに相続は複雑になっていきます。

相続が発生した時には、きちんと綺麗に解決しておきたいものですね。

相続や終活のお手伝いもしています。
心配事がある時にはお気軽にご相談ください。